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医師や看護師がパフォーマンスを充分に発揮できる医療環境で、患者さんを救いたい。そんな思いをかなえる「ピルエット」を日本中すべての病院で導入してほしい。株式会社オカムラ認定人間工学専門家浅田晴之氏医療法人山下病院消化器内科 統括部長認定人間工学準専門家松崎一平さん医療法人山下病院サステナビリティ推進室 主任看護師・内視鏡技師認定人間工学準専門家常見麻芙さんピルエットの特徴について、日本人間工学会の会員である3人に語っていただきました◎浅田 私はこのピルエットの開発に関わっているのですが、そもそもピルエットが出てきた背景に、オフィスで「立ち会議」が流行った時期があります。ずっと座りっぱなしはやめて、立ってミーティングして早く終わらせましょうという動きですね。しかし、立って会議するのはけっこう疲れます。30分で約半数の人たちが疲れを感じ、1時間も立って会議をすると、会議に集中していられません。そこで、立っている時に使える椅子が欲しいということでピルエットが開発されました。座った時に立ち姿勢に近いように骨盤が立つように、座面が少し前傾する椅子、“揺れる椅子”ということで作られたのです。◎松崎 立ち仕事をすることの多い医療従事者にも使いやすいのは、もともと「立ち会議」のために開発された働きやすさと暮らしやすさを追求し続ける、実践を重んじる科学技術「人間工学」。 人間工学は、エルゴノミクス(Ergonomics)やヒューマンファクター(HumanFactors)とも呼ばれていて、私たちの生活の中に定着しています。人間工学は、働きやすい職場や生活しやすい環境を実現し、安全で使いやすい道具や機械をつくることに役立つ実践的な科学技術です。 日本人間工学会は、1964年に人間工学に関する諸研究、ならびに関連する事業の促進を目的として創立。現在の会員数は現在約1300名です。大学・研究所などの学識者から企業内の実務者まで、多様な分野の専門家が参加し、学際的な幅広い活動に取り組んでいます。販売店の方の人間工学を医療に5
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からなのですね。ピルエットは同一拘束姿勢を解除するためだけではないのですね。◎浅田 立ったり座ったりできるものということで「パーチング(半立位)姿勢」という発想が生まれました。でも、なかなかこの「パーチング」という言葉が定着しないんですよ。◎松崎 パーチングという言葉よりもシットスタンドという昔からある言葉の方が広まりやすいのではないですか。◎浅田 シットスタンドは“立つ・座る”なんですよね。パーチングというのは半立位、バーカウンターに付いている椅子のような止まり木的なイメージなんです。だから、本来は足でしっかり支えなくてはいけません。それでも、すぐ立てる、立ちに近い座りというものです。◎松崎 確かにピルエットは、純粋な"座る"とは違いますね。◎浅田 でも、パーチングはなかなか社内でも流行らなくて…。これを機にぜひ定着させたいと思っているので、よろしくお願いします(笑)。「立つ」「座る」という姿勢は人間工学の見地からいかがでしょうか◎浅田 そもそも、人間は立った時に背中がS字カーブを描くというのが自然な姿なんです。そして、重力で内臓が落ちないように支えるために骨盤が大きくなって、足の土踏まずが生まれて前後に倒れないように4点でバランスをとるように進化してきたわけです。やっぱり、人間は立って歩くのにふさわしい構造、骨格になっているんですね。 だから、座る姿勢をとるのは、その時点で体に負荷がかかります。特に、ずっと座っていると、腰のカーブが無くなるので、椎間板への圧力が高まるんです。それを少しでも減らそうとするのが椅子の役割。できるだけ立っているのに近い背骨のS字カーブを維持するように、椅子はデザインされています。それをより立っている姿勢に近づけたのがピルエットです。立っている姿勢に近いので、足に体重がかかっていて、座骨の部分でお尻をサポートしているという座り方ですね。つまり、さっき言った半立位、パーチング姿勢ということです。その時に、足裏と腰の比率が7:3くらいが理想ということですね。 また、人間工学的に言えば、立ったり座ったりすることが血流を良くするということはあります。使う筋肉の話ですが、立っていると足を使って疲れますが、座ると足が楽になる代わりに腰を使うんです。使う筋肉を分散させることによって全体的に疲れにくくなるということが、立ったり座ったりすることのメリットのひとつだと思います。さっき松崎先生がおっしゃっていたように、同一姿勢をとり続けるということが良くないことは 昔から言われています。立ったり座ったりと姿勢を大胆に変えるのは、血流を良くする意味で大切なことだと思います。6
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