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内視鏡治療に携わる看護師や内視鏡技師の現状についてお聞かせいただけますか◎常見 わたしの研究の一つは、松崎先生の先程の研究のスタッフ側、看護師や内視鏡技師の調査に基づくもの(参考文献6)です。 期間有病率と時点有病率ですが、スタッフの期間有病率は80%、時点有病率は43%という結果になっています。時点有病率の上位部位は医師とほとんど変わらず、腰、首、左肩、右肩です。(図3) 次に、リスク要因ですが、医師と同様に、上部消化管ESD、下部消化管ESD、大腸ポリープ切除術などの長時間の治療や検査に従事した場合に影響が出る結果となりました。この結果からも医師だけでなく、スタッフにも早急に対策をとらなければいけないと考えています。◎松崎 内視鏡スタッフに関するこうした詳細な実態調査は、日本だけでなく世界初であり、貴重なデータだと思います。◎浅田 医療現場の労働環境を明らかにするためには、有効なデータになりそうですね。◎常見 もうひとつの研究(参考文献7)は、人間工学誌に掲載されたもので、ピルエットの内視鏡治療における有効性のデータです。ESDをピルエットを使ったSit-standworkstationと従来通りの立った状態で行ったものとを比較評価しています。先ほどのお話で、ピルエットは厳密には"座る"ではなく"半立位=パーチング"だという話題がありましたが、この研究でのSitはピルエットを用いたパーチングと理解ください。 まず、全体的な結果として手術時間が長ければ長いほど従来の立位、Sit-standともにすべての身体部位で右肩上がりに負担は増えるという結果になりました。ピルエットを使用した治療風景販売店の方の人間工学を医療に9
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しかし、Sit-standを取り入れた方が右膝・下腿、右足・足首、左膝・下腿において有意に局所違和感が抑制されています。腰部に関しては有意な結果は得られなかったのですが、抑制傾向が認められています。 グラフ(図3)で見ると、△Standingと〇Sit-standの局所違和感の変化の違いがわかりやすいと思います。この結果から、ピルエットを使った内視鏡治療のほうが下肢の局所違和感の抑制効果を得られることがわかりました。◎松崎 私から少し補足させていただきます。オフィス分野ではSit-standworkstationが筋骨格系障害に有効かどうかが議論になっていたのですが、これはおそらくオフィスワークでは、座っている方とSit-standの比較が多かったため、差が出にくかったのだと思います。一般のオフィスワークと違って私たちは95%立って行う仕事です。だから、StandingとSit-standの比較でこれだけ如実な効果が出たのだと思っています。◎浅田 私も松崎先生がおっしゃる通りだと思います。たぶん活動量がオフィスワークより多いので、医師や看護師の方が効果がはっきり出たのでしょう。今回の研究では立った状態とSit-standの割合はどのように設定されたのでしょうか。◎常見 自律性を担保して運動することが重要とされており、自由に立ったり座ったりしてもらって、あえて割合は決めずに調査しています。◎松崎 内視鏡治療を行う上では、たとえば10分座って、5分立ってと決められるとやりにくくなるので、これが現実に0261014ABC0261014ABC0261014ABC0261014ABC▶内視鏡手術前後のVAS変化量a)腰部[姿勢]η²=0.27b)左膝・下腿[姿勢]η²=0.42c)右膝・下腿[姿勢]η²=0.26d)右足・足首[姿勢]η²=0.06内視鏡手術前後量は、変量因部位、共変量は長径として一般(GLM)によ効果の推定平均手術時間区分A:[<60.97分Standing:Sit-StandB:[60.98-10Standing:Sit-StandC:[106分<]Standing:Sit-Stand:Standing:Sit-StandCC内視鏡手術前後のVAS変化量は、変量因子として手術部位、共変量は術者と標本長径として一般線形モデル(GLM)により推定した主効果の推定平均値。手術時間区分】A:[<60.97分]Standing:n=21Sit-Stand:n=13B:[60.98-106.0分]Standing:n=15Sit-Stand:n=21C:[106分<]Standing:n=15Sit-Stand:n=19:Standing条件:Sit-Stand条件0261014ABC0261014ABCb)左膝・下腿[姿勢]η²=0.42d)右足・足首[姿勢]η²=0.06内視鏡手術前後のVAS変化量は、変量因子として手術部位、共変量は術者と標本長径として一般線形モデル(GLM)により推定した主効果の推定平均値。手術時間区分】A:[<60.97分]Standing:n=21Sit-Stand:n=13B:[60.98-106.0分]Standing:n=15Sit-Stand:n=21C:[106分<]Standing:n=15Sit-Stand:n=19:Standing条件:Sit-Stand条件BC0261014ABCBC0261014ABC後のVAS変化量0.27b)左膝・下腿[姿勢]η²=0.42下腿0.26d)右足・足首[姿勢]η²=0.06内視鏡手術前後のVAS変化量は、変量因子として手術部位、共変量は術者と標本長径として一般線形モデル(GLM)により推定した主効果の推定平均値。手術時間区分】A:[<60.97分]Standing:n=21Sit-Stand:n=13B:[60.98-106.0分]Standing:n=15Sit-Stand:n=21C:[106分<]Standing:n=15Sit-Stand:n=19:Standing条件:Sit-Stand条件図3▶︎内視鏡手術前後のVAS変化量常見麻美,松崎一平,服部昌志,他.Sit-standworkstationの使用が内視鏡医の身体局所違和感に与える影響.人間工学57:261-268,2021Fig2より一部抜粋の上、引用10
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