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参考文献4MatsuzakiI,EbaraT,TsunemiMetal.Effectofendoscopy-relatedproceduretimeonmusculoskeletaldisordersinJapaneseendoscopists:across-sectionalstudy.EndoscopyInternationalOpen2021;09:E674-E6835MatsuzakiI,EbaraT,TsunemiMetal.Sit-standendoscopicworkstationequippedwithawearablechair.GatsrointestEndosc2019:4:498-500TsunemiM,MatsuzakiI,HattoriM,etal.Sit-standendoscopicworkstationswithwooblestoolsfortheendoscopist,assistant,andendoscopynursesinanendoscopyunit.Endoscopy2020:52(09):E324-3256常見麻芙,松崎一平,藤城光弘etal.内視鏡検査・治療従事者の筋骨格系障害とリスク要因に対するアンケート調査の報告TheJapaneseJournalofErgonomics56(Supplement)January2020:2G4-037常見麻芙、松崎一平、服部昌志、榎原毅、藤城光弘 Sit-standworkstationの使用が内視鏡医の身体局所違和感に与える影響 人間工学2021,Vol.57,No.5p.261-268即したやり方だと思います。◎浅田 医師や看護師の方は、施術中ピルエットを使用してどんな時に立ったり、座ったりされるのでしょうか。◎松崎 術者によってだいぶ違いがあると思います。私は8割、9割ピルエットに座って、たまに自分のタイミングで立っています。しかし、慣れていない医師なら、ほとんど立っていてたまに座るという感じですね。◎常見 松崎先生は手術に慣れているので、座っていても手術ができるのだろうと感じます。ESDの手技を勉強している若手の先生方は出血時や、より慎重に手技を進めたい時に比較的立ちがちになるようですね。◎松崎 確かに、集中すると、誰でも少し前のめりになりますよね。座る時はリラックスしている時という感じなので。新人のスタッフにピルエットに座ることを促しても、「まだ余裕がないから立ってやりたい」と言われた経験があります。長時間の内視鏡治療の中で、少しでも同一拘束姿勢の解除をすることを若いうちから学んでほしいのですが。 他にも付け加えたいのが、内視鏡の業務にフットペダルを足で操作する動作があるのですが、ピルエットの大きな特長は、他のスツールとは違って、フットペダルが立った状態でも座った状態でもスムーズに操作できるところです。いろいろ試しましたが、低い椅子だと足首に負担が出たり、動いてしまったり、やりにくい時があるんです。そういう点でも、ピルエットは座面が傾くので、フットペダルとも非常に相性がよいです。ピルエットを使用した治療風景販売店の方の人間工学を医療に11
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人間工学を活かした内視鏡治療の将来についてどのようにお考えですか◎松崎 今、働き方改革が叫ばれていますが、医療の現場では働き方改革というと、残業をやめようとか、時間的なことばかりに目が向けられていて、机や椅子などの環境的な部分はあまり考えられていないんです。 内視鏡医師には手首や腰に痛みを感じている人が多くいます。内視鏡のエキスパートが筋骨格系障害で治療できなくなったら、患者さんにとって不利益になるわけです。高齢化社会を迎える中、ピルエットを医療現場に配置することは、労働寿命を延伸することに貢献します。 ◎浅田 そうですよね。医師や看護師の方がパフォーマンスを充分に発揮してこそ、患者さんにいいサービスを提供できるわけですから。◎常見 看護師の中でも、腰痛のために内視鏡のスタッフをやめた人がいます。これもやはり医療的ロスですよね。 内視鏡現場だけでなく、外来現場でも同様の課題があります。看護師の採血は結構前傾姿勢でやるのですが、それが当たり前になっているんです。不自然な同一拘束姿勢の典型例ですよね。そういう細かいところにもアプローチしていきたいと考えています。◎松崎 患者さんのベッドからの移送もそうですね。ベッドからよっこらせとやるのも、遠くでやると負担は全部腰にきますが、自分の身体の近くでやれば軽減されるとか。このように、人間工学が役に立つところは身近にたくさんあります。 「医療と人間工学」と間口を広げてしまうとそれはそれで大変ですが、私は「内視鏡と人間工学」という視点に絞ってまずはやっていきたいと思っています。◎浅田 超音波検査も腰痛の方が多いと聞きますが。◎松崎 2012年に日本人間工学会メンバーも加わり、日本超音波医学会から「超音波検査者が安全・快適で健康的に働くための提言」が出されています。内視鏡従事者向けの教育は始まったばかりです。内視鏡従事者のためのガイドライン策定も見据えて研究、啓蒙活動を進めて参りますので、その時はぜひ人間工学を重視しているオカムラ様にも御支援頂ければうれしいです。◎浅田 私たちは、椅子などの単体だけでなく、モニターの位置からくる体のねじれなども含めて空間全体で考えていくことを心がけています。◎常見 オフィスデザインは労働環境がとても整っていると感じています。医療の現場ではそういう情報がなかなか入ってこないんです。医療スタッフは今あるものを何にも考えずに、多少辛くても、しょうがないみたいな感じで働いているのが現状です。 だから、人間工学の知識は新鮮で面白味があります。また、現代はSDGsへの取り組みも必要不可欠となっています。目標3「すべての人に健康と福祉を」の中には私たち医療従事者も含まれていますし、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は医療だけでなくオカムラさんなど企業や専門家の方と協力し合い働く環境を整えていく必要があると感じています。◎松崎 多くの医師は論文を書いてそれで終わりになってしまうことが多いんですよ。遠い未来で役に立つのかもしれない研究でも、どうせなら今の社会に役立てたい。医療スタッフが使わなかったら意味が無いんです。世界中の病院やクリニックの医療スタッフにピルエットを使ってほしいと思っています。◎浅田 人間工学は「実践の科学」と言われています。実社会の役に立つ研究分野が人間工学なんです。まさに、松崎先生のおっしゃったように、病院で働く環境が変わることに役立つというのはとても望ましいことです。すべての働く人たちに気持ちよく働いてもらってパフォーマンスを発揮してほしいという、私たちのゴールとも一致していると思います。12
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