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展示ケース:虫害対策/カビ対策[虫害対策]オペレーション技術保存技術500万種ともいわれている昆虫類。大切な文化財に食害を与える昆虫も多く存在します。まずは建物内に入れないことが大切です。しかし、人間に付着して、あるいは文化財と一緒に入ってしまうこともあり、完全に防止することは不可能です。日頃の目視による点検・観察を継続され、万一生息を確認した際は、清掃とトラップ観察・調査、最終手段として脱酸素・低温・薬剤による処理を専門業者に委託しなければなりません。オカムラでは、虫が発生しない材料を使用した展示ケース製作を基本とし、万一虫害発生の際は、防止・駆除のサポートをお受けいたします。その折は担当者へお問い合わせください。文化財の材質による主要害虫一覧表植物質文化財1.木材建造物・大型文化財ミゾガシラシロアリ科、レイビシロアリ科、シバンムシ科、ヒラタキクイムシ科、カミキリムシ科、ゾウムシ科、オサゾウムシ科、ナガシンクイムシ科、キクイムシ科、タマムシ科、アリ科、コシブトハナバチ科などに属する昆虫木彫仏像・屏風、その他小型文化財シバンムシ科、ミゾガシラシロアリ科、レイビシロアリ科、ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、コシブトハナバチ科などに属する昆虫2.竹材ヒラタキクイムシ科、ナガシンクイムシ科、ミゾガシラシロアリ科、レイビシロアリ科、オサゾウムシ科、カミキリムシ科などに属する昆虫3.紙シバンムシ科、シミ科、ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、コナチャタテ科、アリ科、ミゾガシラシロアリ科、コチャタテ科などに属する昆虫4.綿・麻ミゾガシラシロアリ科、シミ科、ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、ヒロズコガ科などに属する昆虫5.畳シバンムシ科、ナガシンクイムシ科、ミゾガシラシロアリ科などに属する昆虫6.乾燥植物(薬草・染料植物など)シバンムシ科、ヒョウホンムシ科、カツオブシムシ科、コナチャタテ科、コチャタテ科、ヒロズコガ科などに属する昆虫動物質文化財1.羊皮紙・毛皮カツオブシムシ科、ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、ヒロズコガ科などに属する昆虫2.毛織物ヒロズコガ科、カツオブシムシ科、シミ科などに属する昆虫3.絹ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、シミ科、カツオブシムシ科、ヒロズコガ科などに属する昆虫4.動物標本カツオブシムシ科、ゴキブリ科、チャバネゴキブリ科、ヒョウホンムシ科、コナチャタテ科、コチャタテ科、シバンムシ科、ヒロズコガ科、アリ科、シミ科などに属する昆虫文化財を汚染するその他の害虫イエバエ科、ヒメイエバエ科、アナバチ科、ドロバチ科などに属する昆虫など出典:「文化財害虫事典 2004年改訂版」東京文化財研究所編 クバプロIntegratedPestManagement(総合的有害生物管理)Avoid(回避)Block(遮断)Detect(発見)Treat(対処)Recover(復帰)IPMの概念生物の育成に必要な栄養素がある限り、文化財の生物被害は避けられません。以前は虫菌害に対しガス燻蒸が最善であるという、いわゆる燻蒸神話が長く続いていましたが2005年、臭化メチル完全撤廃を境にIPM(IntegratedPestManagement)へと取組みが移行しています。オカムラでは文化財保存に対する有資格者の育成にも力を入れ、什器の提供だけではなく、展示ケース及び収蔵庫の空気環境調査、環境測定などを実施し、文化財保存の一助となるようお手伝いさせていただきます。53
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[カビ対策]オペレーション技術保存技術高温多湿の日本ではカビの発生・育成しやすい環境下にあると言わざるを得ません。生物被害でカビの影響による文化財の劣化は害虫のそれと同様重要な問題です。万一カビの被害を確認された場合は、速やかに専門会社または研究機関へご相談することをお奨めします。湿性発育範囲乾性発育範囲等水蒸気圧線40mmHg3mmHg相対湿度[%]気温[℃]403530252050607080901001510056812162024283236カビの予防 カビなどの微生物被害を防ぐには、水分(湿度)の制御と、栄養源の除去(埃や汚れなどの除去)がもっとも効果的である。カビは、相対湿度が60%より高い環境でのみ生育するので、可能であれば、相対湿度を60%未満に保つことが、ことのほか重要である。材質の性質上、比較的高めの湿度で保存しなければならない文化財では、環境の湿度が高くなりすぎないよう、十分な注意を要する。また、水分の制御という意味では、結露や漏水などが展示収蔵環境で起きないよう、細心の注意が必要である。具体的には、結露を避けるため、建物の外壁の裏側にあたる壁面に接して棚や資料を置かない、床面に直接資料を置かない、収納棚の一番下の棚は、床面から最低10cmは上げる、空気の澱みが起きないよう、空気循環を確保する、などの点に注意する。 湿度が上昇する梅雨から夏季にかけて、空調設備が十分出ない施設では、除湿機がカビ予防の強力な助けとなる。除湿機と空気清浄機の組み合わせも有効である。ただし、除湿機の設置法によっては室内が高温になるので、高温になりすぎないよう、空間の大きさと除湿機の能力をよく検討することが大事である。 また、温度もカビの生育を遅くするという意味では、低い方が望ましい。出典:「文化財の保存環境」東京都文化財研究所編 中央公論美術出版温湿度とカビの発生限界乾性カビ、湿性カビの発育限界を表す相対湿度・気温線図です。図中に示されているカビ発生限界線内に入らないように、収蔵庫、展示室の温湿度条件を維持しなければなりません。54展示
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